九日連
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平成18年第1回・第2回研究集会報告
日本語教育学会九州地区研究集会委員 清水・横溝・中島・川邊
○ 第1回研究集会

1)6月10日(土曜日)晴れ
12時半から受け付け開始。13時研究集会開始、17時10分終了。 
参加者108名。

2)今年の会場は、鹿児島大学教育学部講義棟(郡元キャンパス)。鹿児島大の研究集会委員とスタッフによって事前の準備が整えられていて、運営は滞りなく進められた。4つの会場が同じ階で移動しやすく、書籍の展示販売のスペースも取れて、全体がまとまっていてよかった。鹿児島初開催であったが雰囲気に活気があり、今回初めての参加者にも楽しめるものだったと思う。

3)研究発表(13時10分〜15時10分)

研究発表12本(3会場)、ポスターセッション3本(1会場)。現職者10件、大学院生5件で、内容は文法、音声、教材開発、実践報告、日本語教育史など多岐にわたった。

◎ 会場担当者からの報告

第1会場
第一会場は日本語文法と文法教育に関する発表が3件、音声教育に関する発表が1件あった。いずれの発表も20名程度の聴衆の中で行なわれ、持ち時間ぎりぎりまで活発な質疑が行なわれた。会場の規模は聴衆の人数にちょうど良く、4名中3名がプロジェクターを使用した発表だったが、映像も聴衆に十分によく見えるものであった。しかし最後の音声教育に関するものの中で、準備されていた学習者の音声の例をノートパソコン内臓のスピーカーだけだったため、聴衆に聞こえにくかった。今後は発表者にプロジェクター使用の有無を尋ねるだけでなく、発表に用いる機器を全て挙げてもらうよう連絡することが必要である。 
(福岡大学 江口)

第2会場
現職者2名、大学院生2名が発表した。初めの2つの発表は第2言語習得に関する発表で、それぞれデータを詳細に分析しており、内容的にも非常に興味深いものであった。3番目の実践報告は、親子参加型という新しい試みに関するものだっただけに、報告内容がもう少し詳しく具体的であればと感じた。最後の婉曲表現に関する発表はなかなかの力作で、発表者の努力と苦労が伝わる内容であったが、教育への応用についてはやや物足りなさを感じた。
(九州大学 小山)

第3会場
第3会場では4つの発表が行われた。聴衆の数に比して、会場の広さは適正であった。発表内容はそれぞれ個性があり多岐にわたる内容で、いずれの発表でも質疑応答が活発になされた。司会の反省点は、2番目の発表の質疑応答を区切り損ね、5分の遅延が生じてしまったことである。幸い、後続の発表者の協力が得られ、直後に同じ部屋で予定されていた九日連の大会開始時間に食い込まずに終わらせることができた。
(鹿児島大学 畝田谷)

第4会場
課題探究型アクション・リサーチの実践報告についての3つのポスター・セッションを実施した。報告者・聴衆それぞれに「参加に際してのルール」の遵守をお願いしていたのであるが、それを守ったqためか、2時間弱の時間を通してずっと活発な質疑応答・意見交換が行われていた(3名の発表者は、初めてのポスター・セッションだったこともあり、発表時間終了後、大きな疲労感を覚えていた)。会場全体の雰囲気を和らげるためにBGMと飲み物を用意し、参加者からは好評であったようであるが、座って話ができる場を確保できれば、更によかったと思われる。
(佐賀大学 横溝)
研究発表の様子 ポスターセッションの様子

4)休憩(15時10分〜15時40分)
休憩時間を利用して、九日連年次総会を行った。
6)講演(15時40分〜17時10分)
 15時40分から17時10分まで、翌日の会員研修の講師でもある伊東祐郎氏による講演「地域日本語教育から学ぶ"参加型学習"アプローチ」を開催した。アイスブレーキングとして、参加型学習の手法の一つである「部屋の四隅」を参加者全員で体験したあと、参加型学習の理論的な説明や、「学校型日本語教育」と「地域型日本語教育」の比較、日本語教育の多様性に対する見直しや現場の見直しなどについて説明があった。また、参加型学習の手法の一つである「フォトランゲージ」も体験し、グループディスカッションも行った。講演を受動的に聴くだけではなく、参加型学習の手法を実際に体験できた点が好評であった。
(鹿児島大学 中島)

7) 懇親会(17時半〜20時)
鹿児島大学生協にて行われ、53名もの参加があった。鹿児島名物がたくさん準備されていて遠来の参加者には非常に好評で、にぎやかで和やかな懇親会だった。

プログラム
《第1会場》
テンス・アスペクトの観点による「ところ」構文の主節の動詞の特徴 
 加藤理恵(鹿児島純心女子大学)
文末表現「モノカ」についての考察 
 塩塚香織(福岡大学学生)
日本語教育における補文標識「こと」と「の」の使い分け 
 申 允珠(鹿児島大学大学院生)
外国人日本語学習者の日本語音声についての研究 ――短音化現象を中心に――
 森 香奈(鹿児島大学大学院生)

《第2会場》
格助詞「に」は初級学習者にどうイメージされているのか
 ――イメージ化されやすい「に」とされにくい「に」―― 
 和田礼子(鹿児島大学)
中国人日本語学習者によるアスペクトの習得研究 ――SRE理論の観点から――
 崔 亜珍(九州大学大学院生)
多文化社会を目指す日本語教育──「親子参加型」の教育実践報告── 
 ケ 倩儀(鹿児島大学大学院生)
「かもしれない」の婉曲表現に関する考察──日本語教科書の分析から── 
 黄 ト涵(早稲田大学大学院生)

《第3会場》
文化を中心とする日本語集中コースの実践例 ――有隣館方式をめざして―― 
 上迫和海(異文化教育研修所有隣館)
中級レベルの会話の授業で取り組むスピーチ 
 マルヴィー 菜穂子(鹿児島大学)四元睦美(鹿児島大学)
汎用性のある中級総合教科書の開発 ─『みんなの日本語中級』の出版に先立って─
 新内康子(志學館大学) 
藤嵜政子(スリーエーネットワーク)
ブラジルにおける日本語教育の変遷と現状──日本語教科書の変遷を中心に── 
 中東靖恵(岡山大学)

《第4会場》
ポスターセッション「課題探究型アクション・リサーチの実践報告」
日本語教師養成課程における、教師の「日本語教師観」が学生に与える影響 
 岡部悦子(長崎外国語大学)
日本語教師教育者としてのコミュニケーションのあり方 
 高橋美奈子(琉球大学)
教師教育者の変容が学生に与える影響 
 山田智久(北海学園大学)

 講演「地域日本語教育から学ぶ“参加型学習”アプローチ」
  講師:伊東祐郎(東京外国語大学)
  進行:横溝紳一郎(佐賀大学) 
 (内容) 理論的説明、参加型学習の実践例の体験、まとめ

○第2回研究集会(会員研修)
1)6月11日(日曜日)晴れ
 9時半受付開始。10時会員研修開始、16時半終了。参加者34名。
2)題目「『参加型学習』と『日本語教育』」、講師:伊東祐郎氏
3)前日の講演に引き続き、伊東氏による会員研修が行われた。「参加型」ということで、 受講者の積極的な参加が見られた。今回は、「参加型学習の拡がり」というテーマで、河野氏(横浜国立大)と横溝氏(佐賀大)の話もあり、また、3氏によるパネルディスカッションも行われ、非常に有意義だったと思われる。まさに「講演者」と「受講者」という枠を越え、スタッフもいっしょになっての場が形成され、参加者全員に深い印象を残した研修だったと思う
会員研修の様子
 
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